【概要】猫エイズとはどんな病気ですか?【FIV】

検査・診断

猫のエイズウイルスに関する研究は、1986年ごろのアメリカで始まったといわれています。その頃すでに「猫白血病ウイルス(FeLV)」については知られていましたが、原因不明の慢性疾患を抱えた猫を診察する中でこのウイルスが発見されました。そして1987年2月の科学誌「サイエンス」にて、猫のエイズに関する論文が掲載されるのです。

このブログでは論文の内容や医学的な情報まで踏み込むことはできませんが、現在一般的に言われている「猫エイズ」とはどんなものなのか、概要について記載していきます。

猫エイズとは

猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)に感染すると免疫が正しく働かなくなり(免疫不全)からだの抵抗力が弱まります。

そのためさまざまな病気にかかりやすくなり、しだいに体が弱り、末期にはそれによって死亡することがある病気です。

このウイルスに感染してはっきりとした症状が出るまでには、数か月から場合によっては数年もの時間がかかります。

発症までの期間は個体によって大きく異なり、免疫不全は時間の経過とともに徐々に進行するため、飼い主が感染したことに気付くのが遅れることも少なくありません。

発症すると完治することはありませんが、環境を整えていけばうまく付き合っていける病気であることが徐々にわかってきています。

猫エイズのステージ

猫エイズは表1の段階(ステージ)を経て進行します。

急性期1か月から1年軽い発熱や下痢個体によってはまったく症状が見られないこともあり
無症候キャリア期2から10年普通に生活できる(無症状)この期間はストレスのかかり方によって変わると言われます。この状態のまま発症せずに一生を終える猫も多い
PGL期1から4か月リンパ節の腫れ(全身)発症の前兆ですが、期間が短く見逃してしまうこともある
ARC期1年またはそれ以上免疫機能の低下口内炎、鼻炎、皮膚炎、結膜炎などの「エイズ関連症候群」が見られる。とくに口内炎が多い
エイズ期数か月免疫機能がなくなる急激に痩せ貧血が進む。悪性腫瘍ができたり、日和見感染(免疫力が正常な時には起こらないような感染症)がおこる。多くは数か月以内に死亡する
表1

猫エイズと付き合うには

現在の医学では猫エイズを完治させることができません。

また有効な治療法もありません。

しかし無症候キャリア期を維持することで発症を食い止めることが可能です。

ステージが進み発症してしまった場合は、その症状にあわせた対処療法をしたり、免疫力をあげる治療しかできません。

猫エイズに感染してしまった猫と暮らすには、ストレスのかからないような環境をつくり、生命力を信じて愛情を持って接しましょう。

私たちにしてあげられることはただそれだけです。

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